WEB問題集
ある製造業の経理部門長が、取引先から届く請求書を社内マスタと突合する作業の自動化を検討しています。突合ルールは社内規程で完全に明文化されており、入力は定型のフォーマットで、例外は年間数件にとどまります。この案件について経営会議に諮る投資判断として、最も適切なものはどれですか。
解説
【正解: B】の理由
突合ルールが社内規程で完全に明文化され、入力も定型で例外も年間数件という条件が判断を決めます。決定論的に記述できる業務はルールエンジンで確実かつ低コストに自動化でき、判断根拠も規程そのもので説明できます。ここへ機械学習を持ち込むと学習データの整備や監視の負荷が増える一方、出力は確率的にしか保証されず、経理業務に必要な説明可能性と再現性が損なわれます。限られた AI の投資枠は、ルール化が難しく人の判断に依存する領域へ振り向けるほうが効果は高くなります。
【他選択肢が違う理由】
- A: ファインチューニングは学習データの整備と再学習の運用が継続的に必要で、明文化済みのルールを再現する用途には過剰な投資となります。
- C: 投資対効果の試算を行わずに着手すると継続可否を判断する基準が定まらず、パイロットが目的化して撤退の判断も遅れます。
- D: 全社データレイクの構築は本件の突合には不要な前提条件であり、着手を遅らせるだけで課題の解決には結び付きません。
【参考】
ある保険会社が、社内規程に基づいて顧客対応を案内する生成 AI アシスタントの導入を検討しています。社内規程は毎月改定され、アシスタントの回答には必ず根拠となる規程条文の出典を示す必要があります。導入方針を決める意思決定として、最も適切なものはどれですか。
解説
【正解: C】の理由
規程が毎月改定されることと、回答に出典の提示が必要であることの 2 つが方式を決めます。Amazon Bedrock ナレッジベースによる検索拡張生成 (RAG) は、外部のデータソースを検索して回答の根拠とする方式で、生成された回答に元のデータソースへの引用を含められるため、条文を出典として示す要件を満たせます。改定はデータソースの更新だけで反映でき、モデルの再学習が不要なため、改定頻度に比例して発生し続ける維持コストを低く保てます。
【他選択肢が違う理由】
- A: 改定のたびに再学習するとデータ整備と評価の工数が毎月発生し、維持コストが改定頻度に比例して膨らみます。
- B: 汎用の基盤モデルは自社の社内規程を保持していないため、根拠となる条文の出典を示せず業務要件を満たせません。
- D: 人手での要約と貼り付けは属人化と転記誤りを招き、利用規模が拡大するほど運用として成立しなくなります。
【参考】
ある企業の経営企画部門が、各部門から挙がった 4 件の業務課題に対して、どの種類の AI ソリューションで着手するかを整理しています。次のうち、適切なものを 2 つ選択してください。
解説
【正解: C / D】の理由
課題の性質に対して過不足のない手立てを選ぶことが判断の軸です。問い合わせメールを内容ごとに仕分ける課題は、あらかじめ定めた区分へ振り分ける分類にあたり、生成 AI を用いなくても処理できます。社内の規程文書に基づき根拠を示して回答する課題は、外部のデータソースを検索して回答の根拠とする検索拡張生成 (RAG) が適し、出典の提示という要件も同時に満たせます。実績から需要量を見積もる課題は回帰による予測、売上傾向の可視化と自然言語での質問は Amazon Quick の領域です。
【他選択肢が違う理由】
- A: 連続する数値を見積もる課題は回帰にあたる予測の問題であり、文章を作り出す生成 AI は目的が異なります。
- B: 可視化と自然言語での問い合わせはビジネスインテリジェンスの機能で満たせ、モデルの学習は要りません。
- E: 分類はあらかじめ定めた区分へ振り分ける手立てであり、連続する数値の見積もりには使えません。
【参考】
ある損害保険会社のカスタマーサービス部門長が、既存の FAQ 応答チャットボットに加えて AI エージェントの導入を検討しています。検討中のエージェントは、問い合わせ内容を解釈して必要な手続きを自ら小さなステップに分解し、社内の契約管理システムを呼び出して照会や変更の処理まで行える点が従来のチャットボットと異なります。経営会議に諮る導入方針として、最も適切なものはどれですか。
解説
【正解: A】の理由
AI エージェントは、目標の達成に向けてタスクを自律的に実行し、周囲の環境とやり取りする AI システムと定義されます。文章を返すだけの FAQ 応答と違い、要求を小さなステップに分解して社内システムを呼び出し、実際に処理を行います。誤動作の影響は回答の品質ではなく契約情報の変更という業務上の結果として現れるため、経営が決めるべきなのは、どのシステムのどの操作まで任せるか、どこから先を人の承認必須とするかという線引きです。対象業務を限定して始めれば、想定外の動作の影響を抑えられます。
【他選択肢が違う理由】
- B: エージェントの本質的な違いは文面の自然さではなく、外部のシステムを呼び出して実際に処理を実行する点にあります。
- C: 実行範囲と承認の線引きは業務上の責任に直結するため、現場の運用ルールに委ねる事項ではありません。
- D: 対象業務を限定せずに任せると、想定外の動作が起きた際の影響範囲を経営として説明できなくなります。
【参考】
ある製造業で、複数の部署が会社の承認を得ないまま外部の生成 AI サービスを業務に使っていることが判明しました。全社としての対応方針として適切なものを 2 つ選択してください。
解説
【正解: A / C】の理由
承認外の AI ツールの利用は、どの部門がどのデータをどこへ渡しているかを把握できない状態を生みます。AWS クラウド導入フレームワークのガバナンスのパースペクティブは、正確で完全なアプリケーションのインベントリを持ち、無秩序な増加を最小限に抑えることを求めています。これを AI ツールに当てはめると、使用してよいものを承認済み・評価中・禁止に分類して基準とともに周知することが要になります。あわせて承認済みをすぐ使える導線と申請の窓口を用意して初めて、承認外へ流れる動機がなくなります。
【他選択肢が違う理由】
- B: 一律禁止と処分の規程だけでは業務上の需要が消えず、把握できない場所での利用がかえって増えます。
- D: 自主申告のみに委ねると実態を把握できず、インベントリに基づく管理という前提が成り立ちません。
- E: 都度の遮断は事後対応にとどまり、利用者にとって何が承認済みなのかが示されないため再発を防げません。
